『建築を歩く』は個人製作、隔月刊の電子書籍です。amazon kindleストアにて250円で販売中。2018年からはscraboxで活動中です。
今回は全506頁です。
20180731追記:「鳴門市文化会館」の末尾で「工学部VII号館」と書いてるのは間違いで、正しくは「工学部VIII号館」つまり8号館です。
今号の「鳴門市文化会館」文章なし、写真のみの型式です。300頁ほど使って、建物の全貌を紹介しています。
写真を見ながら、実際に建物を歩いて体感できるようなつくりになっています。
とりあげているのは、1982年に完成した、徳島県は鳴門市の鳴門市文化会館です。
いわゆる劇場の建物で、ホールとホワイエ、そして会議室にロビーなどで構成された建物です。
JR鳴門駅から少し南に歩いて行くと、撫養川の側に立つその雄大な姿が見えてきます。
金色に光る南の壁、天井までのガラスが並んだ壁面、そして光に色をつける彫刻のような採光など、
さまざまな要素が組み合わさったホワイエが一番の特徴でしょう。
もちろんそれだけではなく、ホールや楽屋、そして障子の明かりが心地よいロビーも含めて、
どの部屋もそれぞれに見どころがあります。
複雑な形がまとまって全体を作り上げているコンクリートの力強い外観や、川の向こう岸からの遠景まで含めた、
遮るものがほとんどない建物外まわりの空間とその表情にも、独特なものがあります。
今回は朝・昼・夕・夜と、さまざまな時間、そして夏と秋というふたつの季節をまたいで、写真を撮影しました。
外の光がふんだんに入る建物が、時間によってそして季節によってどのように姿を変えていくか、
そういう点から見ても面白いかと思います。
朝の早い時間、建物の外壁にずらっと並んだコンクリートの縦ルーバーが影をつくる時間がわたしは一番好きですが、
天井全面が光る照明が灯ってからの夜間の姿も、朝や昼とはガラッと印象が変わってなかなかいいものです。
真夏の真っ昼間、南側の金色の壁が一番明るい時間、そして照明の灯る夜間、
とにかくいつ行っても違う様子で、写真を撮るのも非常に楽しい建物です。
この建物、「鳴門市文化会館」の写真をこれほど多く撮影して、かつ多く掲載しているのは、
いまのところそしておそらくこれからも本書だけです。
増田友也さんに興味がある方はもちろんですが、ない方にも自信をもっておすすめします。
末尾に参考文献とその解説を載せています。『増田友也著作集』や『「建築論」の京都学派』などを紹介しています。
『増田友也著作集』は巻によってそれぞれ内容が異なりますが、まずどれを読んだらいいかなど、具体的に説明しています。
連載、「建築紀行」。この記事は、ある地域の建築を、いくつかまとめて紹介するものです。
それにくわえて、建物を見て、歩いて、建物について思ったこと、考えたことを文章であらわしています。
なぜあの建物は「いい」のか、なぜあの建物は「きらい」なのか。
そんなことを考えるヒントになるようにつくっています。
もちろん、それぞれの建物の外・内の写真も、一緒に掲載しています。
今回は徳島県の徳島市街と、主に丸亀を中心とした香川県の建物を紹介しています。
新町川水際公園周辺の、LEDでライトアップされた橋の景観が美しい徳島市街からはじまり、香川県のさまざまな建物を豊富に紹介しています。
今号でとりあげているのは、
などです。加えて、
なども、それぞれ少しずつ紹介しています。
約130ページで、豊富な写真と独自の批評を加えて建物や町並みを紹介しています。
全ての写真に説明書き(キャプション)をつけていますので、
何が写っているのか、どういうところに工夫があるのか、ということが、わかりやすくなっています。
第1号でとりあげた「カトリック宝塚教会」の設計者、村野藤吾(むらの・とうご)が設計した建築をとりあげるシリーズです。
第2回は山口県は宇部市にある音楽ホール、「宇部市渡辺翁記念会館」をとりあげています。
1932年の完成ですが、現在見てみても新鮮な空間が随所にある、すばらしい建物で、
「鳴門市文化会館」とはまた違ったよさのある劇場建築です。
80年以上も前の建物ですが、いわゆる様式建築ではなく、現代建築であり、
したがってガラスブロックの印象的な休憩室や、
音響もいいやわらかい印象のホール、さらに1階、2階どちらも柱や床がそれぞれ個性的なホールなど、どこを取っても優れた建物です。
現代の建築ではほとんど見られない、建物の空間としっかりと調和したさまざまな装飾や彫刻そして照明器具の数々が多く残っていることも見逃せません。
左右対称ながら威圧感のないその独特なカーブする外観も、雄大ながら親しみのある良い姿です。
約40ページです。
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